歌鳥のブログ『Title-Back』

歌鳥の小説やら感想やらなにやらのブログです。よしなに。

Healthy Parents, Happy Couple

 長い旅でした。

 この曲はたぶん1年くらい前、 Folk Radio UK で知りました。かなり以前から頻繁に、たぶん2日に1回くらいのペースで流れてます。2009年リリースだそうなので、きっと人気のある曲なのでしょう。
 最初は普通に聞き流してました。そのうちだんだんと、このとらえどころのないメロディとハスキーなボーカルが気になりだしました。私はどうも声がひっくりかえる人が好きなようで。
 気がつくと、オンエアされるたびに手が止まるようになりました。浸りきって聴いていると、ますます好きになりました。

 が。

 iTunesネットラジオを聴くと、上部に曲名とアーティスト名が表示されます。が、時々この表示が"Radionomany"とかになることがあります。他のネットラジオ局でも同じなので、恐らく曲データが存在しない時にこの表示になるのでしょう。
 ……よりによってこの曲の時に、この"Radionomany"が出やがりました。
 困りました。曲名もアーティスト名もわかりません。

 仕方ないので、 Folk Radio UK のサイトに行ってプレイリストを探しました。
 プレイリストには"Radionomany"とありました。
 キンカンを一気飲みしたくなりました。

 当時のFolk Radio UK は、ブラウザから直接は聴けませんでした(今は可能です)。iTunesを経由するか、メディアプレイヤーを使うかする必要があったのです。
 もしかして、メディアプレイヤーならあの曲のタイトルが表示されるかも。
 一縷の望みをかけて、私はメディアプレイヤーを起動しました。Folk Radio UKをひたすら聴き続け、あの曲が流れるのを待ち続けました。
「来た!」
 ついに待ちこがれていたあの曲がオンエアされました。私はモニターに食らいつく勢いで、メディアプレイヤーのウィンドウを開き、曲名を確認しました。

 "Radionomany"でした。
 危うく頭突きでモニターを破壊するところでした。
(ちなみに、このへんあんまり誇張してません)

 その後は放浪の旅でした。
 Folk Radio UK のサイト内をくまなく探しました。“今月のおすすめ”みたいなコーナーがあり、そこのバックナンバーにこの曲があるのでは、と動画を片っ端から再生しまくったりもしました。手がかりは「ボーカルが女性である」ことくらいだったので、捜索は困難を極めました。結局、徒労に終わりました。
 歌詞で検索すればどうにかなるかも……とも考えました。
 この曲が流れた時、目を閉じて集中し、少しでも歌詞が聴き取れないかと試してみました。が、私の貧弱な英語力では「むーびー」「べーすめんと」「ぎたー」などの単語を拾うのが精一杯。これで検索したところで、結果は目に見えています。
 私は己の無能さを呪い、日本の英語教育を呪いました。
 メロディで曲を検索できるサイトを見つけ、そこに望みをかけてみたりもしたのですが……そもそも、この曲のメロディが実にとらえどころがなく。1フレーズ覚えるのも至難の業です。「マイクに向かってうろ覚えの曲を鼻歌で歌う」という屈辱に耐え、検索してはみたものの、結果はさんざんでした。

 数ヶ月後、ようやく苦労の報われる日が来ました。
 Folk Radio UK がブラウザから直で聴けるようになったのです。小さなウィンドウを開いておけば、そこにオンエア中の曲名とアーティスト名が表示されます。
 また"Radionomany"になるかもしれない。そう思いながらも、私は希望を捨てられませんでした。以後数日にわたって、私は Folk Radio UK を流しっぱなしにして、ひたすら待ち続けました。
 そして遂に、私は手に入れました。あの曲のタイトルとアーティストの名前を。

Healthy Parents - Devon Sproule

 いやー、本当に長い旅でした。
 残念ながらYouTubeでは動画がなく、あまぞんの視聴コーナーで辛うじて断片を聴ける程度だったのですが、今日になって他のサイトでフルコーラスのサンプルが見つかりまして。


 こちらだとタイトルに"Happy Couple"という言葉がくっついてます。恐らくこっちが正式タイトルなのでしょう。親切なことに、歌詞まで掲載されています。

 とらえどころのない柔らかなメロディ。なぜか切なくなるのは、時々ひっくり返るハスキーボイスのせいでしょうか。ギターの音はひかえめに、つけあわせのニンジンみたいに時折顔を出すだけ。全てが、たまらなく愛おしいです。
 なんでこんなに好きなのか、どこがそんなに好きなのか、説明は難しいんですが……本当に好きなものって、そんなもんですよね。

 さて……歌詞もわかったことだし、これから翻訳を試みないといけません。多分他に誰もやってないでしょうし。
 旅はまだ当分続きそうです。