歌鳥のブログ『Title-Back』

歌鳥の小説やら感想やらなにやらのブログです。よしなに。

【意味がわかると怖い話】とある警察署にて・2本立て

例のあの企画、こちらのブログでも続けていきます。
 あの企画、というのはですね……説明が面倒なので他のブログに丸投げしてしまいましょう。


 まあ、こんなようなのを自分で作ってみたわけです。
 旧ブログの方に掲載済みのやつも、そのうちこちらにサルベージしますが、今回は新作です。しかも2本立てという豪華版。ただし内容は保証しませんが……。
 その1とその2,舞台が同じだけでネタは関係ありません。


    その1:連続殺人の悲劇

 目撃者もなし、被害者同士の関連もなし。連続殺人事件の捜査は、完全に暗礁に乗り上げた。八方ふさがりとなった俺は、夜食のカップ麺をすすりながら、腹立ちまぎれに同僚の荒川を呼びつけた。
「課長もふざけんなってんだよ。『解決まで全員徹夜、誰も帰るな』とか言っといて、自分はとっとと帰りやがった」
「仕方ないですよ。マスコミにも注目されてるし、署長もせっついてくるし、課長もプレッシャーなんです」
「そのプレッシャーが全部、こっちに押しつけられるんだぞ。たまったもんじゃない。ったく、ふざけやがって」
「はぁ」
「あのクソ犯人もふざけてやがる。今夜の殺しで5人めだぞ。毎晩1人ずつ、それも全員うちの所轄内だ。野郎、俺たちに喧嘩売ってるとしか思えん」
「はぁ」
「しかもなんなんだ、今夜の殺しは」
「先輩、その件なんですけど――」
「最初の4人は女だったのが、今日は男だ。場所も住宅街じゃなく、繁華街の裏通り」
「あの先輩、それは――」
「昨日までは毎回残していた血文字も、今日はなし。とどめは凶器だ。いつものナイフじゃなく、素手で絞殺ときやがった。あの野郎、なにを考えてやがる。今夜に限って手口を変えやがって、面倒を増やすなってんだよ」
「先輩――」
 その時、電話を切った別の同僚が叫んだ。
「派出所から連絡で、男を確保したそうです! 今夜の殺しを自白したいんだとかで」
「本当か!? そいつは朗報だな! 早速連行してこい」
 その同僚は部屋を出て行った。俺は背もたれに体を預けて、カップ麺の汁を飲み干してから、荒川に笑いかけた。
「まさか奴の方から出向いてくれるなんてな。この連続殺人事件も、やっと解決だ。ようやく家に帰れるぞ」
「……はぁ」
 荒川はぼんやりとうなずいた。こいつ、なにをぼーっとしてんだ。嬉しくないのか。



   その2:1発の銃声

 うちの所轄はどうなってんだ。連続殺人がやっと解決したと思ったら、今度はヤクザの抗争だとさ。おかげで、俺はまた家に帰れない日が続いてる。
「荒川、なんだよこの報告書は」
「はぁ」
「こんなくそ真面目な文章じゃ、俺が書いたんじゃないってすぐバレんだろうが。最初から書き直せ」
「はぁ。すみません」
 同僚の荒川は、覇気のない顔で自分の席に戻った。もう真夜中近く、居残っているのは俺と荒川の2人だけだ。
 あいつに元気がないのは、誤認逮捕の件で課長にどやしつけられたからだろう。ヤクザの下っ端だと思って捕まえたら、ただの浪人生だった。逮捕の時にぶん殴って怪我させたから、ちょっとややこしいことになったんだ。課長のぶち切れた声が、トイレの個室にまで聞こえてたっけ。ありゃ傑作だった。
 実を言えば、浪人生を逮捕したのは俺だ。ぶん殴ったのも俺なんだが、俺は荒川に責任をおっかぶせて逃げた。
 そういや、あいつの手柄を横取りした件もあったな。あいつは悔しがって泣いてたらしいが、俺の知ったことじゃない。
「おい、どこ行くんだ荒川。報告書も書かねーで逃げる気か?」
「トイレです」
 荒川はふらふらした足取りで廊下に出ていった。
 あんな風に、普段からぼーっとしてるから、俺に雑用を押しつけられるんだよな。
 あーあ、それにしても嫌な仕事だ。後輩で腹いせでもしなきゃ、こんな仕事やってられないぜ。

 ――パーン!

 俺は飛び上がった。今の、銃声か?
 拳銃をひっつかんで、廊下に飛び出した。気のせいか、硝煙の匂いまで漂ってくるようだ。
「荒川! ケツ拭いて早く来い!」
 トイレに向かって叫んでから、俺は外に出た。銃声は1発だけだったが、それにしても署の近くでドンパチやらかすなんて、まったくヤクザってのはいかれてやがる。
 署のまわりをぐるっと1周してみた。が、特に異常は見られなかった。
 首を傾げながら署に戻った。……さっきの銃声は、俺の気の迷いかも知れないな。このところ寝不足だし、おかしなもんが見えたり聞こえたりしても不思議じゃない。
 部屋には誰もいなかった。そういや荒川の奴、俺が声かけても出てこなかったな。まだトイレにこもってるのか。まったく、どうしようもなくトロい奴だ。そんなんだから、俺にいたぶられるんだぜ。


 最初にその1を書いて、しばらくして読み返したら「うわ何これ超つまんねーこれ書いたやつバカだろ」状態になりました。で、その2を書くついでに、いろいろ書き直したりした結果がこれです。すこしはマシになったと思うんですが……。
 あえて解説はしない方向で。どうしても意味を知りたい方は、コメントにてご要望ください。