歌鳥のブログ『Title-Back』

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【アニメ】ローリング☆ガールズ



 この予告見た時点では、まさかこんな所まで到達するとは思わなかったな……。

 本気で面白いアニメでした。
 アニメでこんなに興奮したのは『スケッチブック』以来です。私の中で『スケッチブック』は“アニメじゃない、アニメを超えた別のなにか”という位置づけですので、その観点で言えばこの『ローリング☆ガールズ』は“史上最高のアニメ”と言えるかもしれません。

 物語は……えー、あのお話をうまいこと要約できる自信がないのですが、とりあえずやってみます。

 日本の地方自治体が“独立国家”となった世界。人々は、特殊能力を持った一握りの“モサ”と、その他大勢の“モブ”とに分かれ、それぞれの国はその国の“モサ”によって守られています。
 所沢国のモサであるマッチャグリーンは、他国の紛争を平和的に解決する“平和請負人”という役割も持っていました。が、東村山との抗争によって負傷、長期離脱を余儀なくされます。
 幼馴染みの入院をきっかけに、主人公・望未は「もう守られてばかりは嫌だ」と一念発起。途中で知り合った三人の仲間と共に、マッチャグリーンの代理として各国の紛争を収める旅に出ます――。

 ……うん、ぜんぜんわかりやすくない。
 話のキモは、主人公が“モサ”ではない“モブ”だという点です。
 各国で起きるゴタゴタは当然モサが中心となっていて、モブである望未たちは腕力でも才能でも太刀打ちできません。そんな彼女たちが、おろおろじたばたしながら、どうにかこうにかゴタゴタを解決に導いていく――というところが、このお話の見所です。
 と、物語としてはそうなんですが、そう単純な話でもなく。

 たとえて言うなら、ガラクタでいっぱいの倉庫。
 一見して「なんじゃこりゃ」って感じのガラクタでも、よく見るとパーツの一つ一つはとても丁寧に作られていて、あれ、これとこれくっつくぞ、これってチェーンじゃね、とあれこれいじくりまわしていたら、最後には立派なバイクが出来上がりました……みたいな。
 最初は本当にガラクタしか見えないので、ネットでの評判は今ひとつのようです。一度「これバイクじゃん」って気がついてしまえば、あとはもう最後までぶっ飛ばすだけなんですが。

 メインの4人も、各地で出会うモサたちも、各所で暗躍する謎の人物たちも、全員が魅力に溢れていました。
 二話構成の展開は、最初の週で「えーなにこれどうなっちゃうの、この話どこに落ち着くんだよ?」と不安をかき立てられ、次の週のカタルシスでほっとする――の繰り返し。細部まで練り上げられた、本当に面白いアニメでした。

 以下、ネタバレ含む感想です。










 個人的に一番ツボだったのが、千綾のこのセリフでした。細部はちょっと違うかもしれません。

「ねえゆきっぺ。みんな、どうやって我慢してるの? アレ」
「気が抜けるとなっちゃうんだ。アレって、人に見せちゃいけないんでしょ?」
「……でも、友達ならいいよね?」

 千綾は、自分が“宇宙人である”ということを知らされず、さらに他の子供との接触を断たれたまま育ちました。
“気が緩むとタコになる”という自分の特性には気づいていたのですが、それが“自分だけの特性である”とは夢にも思っていません。「他の3人もタコになる」、と思いこんでいたため、↑のセリフになるわけです。

 ああ、これはSFだ……と、そう思いました。
 ガラクタを適当にぶちまけただけ、みたいな物語が、実は細部まで計算し尽くされていると(上のたとえで言えば「これはバイクである」、と)気づいた瞬間でした。
 ラストはもうすっかり千綾の物語になってましたが……。最後のセリフはぐっときたなー。泣かなかったけど。

 あ、京都編では泣きました。最後のライブで、三味線入ってくるとこ。
 これだけニコ動で5回くらい見て、5回とも泣きました。いやー三味線ロックはいいですね。

 もう彼女たちともお別れか……と思うと、本当に寂しいです。こんな気分になったのも『スケッチブック』以来。
 物語上、続編は難しいでしょうが、うーん。せめてすっとばした静岡・山梨抗争をOVA化するとか、どうですかね。なんかコミカライズ版でもすっとばしてるんだよなー。


3/30追記:
 ちょっとミスがあったので書き足しておきます。本日更新されたコミカライズ版を見ると、まだ箱根の手前だったようです。なので、今後静岡・山梨編もあるかもしれません。前回のセリフで「名古屋は遠い」とかってのがあったので、勘違いしてしまいました。

 さらにさらに。↑↑の予告動画を見直すと、大阪の紛争も描かれてますね。設定資料では、大阪からマッチャグリーンへの依頼も存在していたようです。アニメでは一切触れられていませんでしたが、望未たちが道中大阪に立ち寄っていても、まったく不思議じゃないわけです。
 うん、これはもうOVA待ったなしですね。

 ついでにもうひとつ。
 ↑では“続編難しい”と書きましたが、よくよく考えると不可能ではないですね。“時空セレクター”という便利アイテムがありますので、頑張ればちーちゃん帰ってこれます。