歌鳥のブログ『Title-Back』

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 つい先ほどCSで鑑賞。
 ジョン・ナッシュについては“ナッシュ均衡”という言葉しか知りませんでした。事故で亡くなったのはつい先日ですが、その時も「ふーん」としか思いませんでした。
 もっと早くこの映画を見ておくべきでした。

 数学者ジョン・ナッシュが若い時に成し遂げたすばらしい功績と、その後の秘密めいた活動、そしてすさまじい闘病生活と、晩年に訪れる栄光を描いた物語です。
 事前知識ほぼゼロで見ました。ストーリー自体が相当なびっくり箱でしたが、同じくらい驚愕だったのがジェニファー・コネリー。ちょっと待て何歳だこの人。『ラビリンス』の頃と大して変わってないじゃん。
 かつての私のアイドルでした。映画が2001年なのでえっと……31歳ですか。そんなに驚く年齢でもないな。いや、でもそれにしても若い。そして美しい。この人の存在だけでも見た価値がありました。
 ストーリーの方も、実に興味深いものでした。以下、ネタバレ含みます。





 数学者が暗号解読のために政府に利用される、というのはありがちなお話で「あーまたか」と思いました。それに続く総合失調症も「なんだよなんでも政府のせいかよ」とか思ってしまいました。もっとこう、数学者の悲惨さみたいなのを期待してたので、そっちに責任押しつけちゃうのかよーというのが不満だったのです。
 とんでもない勘違いでした。
 実話が元になったお話に対し、こういうと失礼ですが、途中から俄然面白くなりました。「え、なに、そっから?」と。

 現実と虚構が切れ目なく描かれているため、見る側もナッシュの(加えて妻アリシアの)混乱を追体験することになります。なにを信じればいいのかわからない恐怖と、家族が徐々に壊れてゆく恐怖。その両方を、同時に共感してしまいました。
 幻覚から立ち直るきかっけが、実に数学者らしい洞察力で。あれ多分俺じゃわかんないだろうなー。
 必要以上に感情的にならず、淡々と、(幻覚も含めた)事実をあるがままに描く演出。変に演出過剰な映画より、こういう方がぐっときます。
 最後、ノーベル賞授賞式のスピーチの場面で、タイトルの意味がようやく理解できました。
 すばらしい映画でした。本当に、見てよかったです。

 タクシーの事故って、完全に巻きこまれた形で亡くなったんですね。偉大な数学者は悲惨な最期を遂げる人が多くて、その中ではマシな方なのかな。ご本人の気持ちまでは推し量れませんが、すばらしい生涯だったんじゃないでしょうか。
 ナッシュ夫妻のご冥福を祈ります。