歌鳥のブログ『Title-Back』

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【アニメ】フリップフラッパーズ6話「ピュアプレイ」

 さきほどの記事の続きです。まだお読みでない方は、先にこちらhttp://blogs.yahoo.co.jp/songbird_i/37780866.htmlをお読みください。
 そして、思いっきり内容に触れています。未見の方はネタバレにご注意ください。









 さて。
「このアニメは傑作である」と確信したのは、3話でマッドマックスのパロディが出てきた時でした。さらに変身までされちゃった日には、もう降参するしかありません。
 が、本気で心を揺さぶれれたのは第6話でした。
 以下、この6話のみをピンポイントで感想書いていきます。

 訪れたピュアイリュージョンの中で、ココナとパピカはさらに別の入口を発見。入ってみると、そこはごく普通の住宅街の中でした。
 その世界の中で、ココナは小学生の女の子“イロちゃん”となって、おばちゃんと平和で楽しい日々を過ごします。

 いきなりの変化で、やはり最初は「は? は?」しか頭に浮かばなかったのですが。
 この、おばちゃんとの生活がとても優しく、暖かくてですね。
 オレンジの色彩も相まって、なんともほのぼのとした時間でした。思わず油断しかけたところで、次の展開。

 オレンジに包まれた、おばちゃんとの楽しい時間。
 が、ココナが家に帰ってみると、そこは暗く冷たい世界でした。部屋にはパピカがいて、ココナの姿を見るなり飛びついてきます。
「代わって! イロと代わって!」
 その瞬間、ココナはもう1人の“イロ”となって、自分の家で辛く、悲しい時間を過ごすことに。

 えーと。
 ここでもやっぱり呆然としてしまう視聴者なのですが。
 どうにかこうにか「2人が同じ人物になっている」「ココナはおばちゃんの家、パピカは自宅、と住み分けをしていた」ことを理解します。
 一切の説明なしに、こういうことを理解させてしまう。この見事なまでのシナリオに驚愕……している暇もなく、次の場面へ。

 自宅での青い時間に耐えられなくなり、ココナはおばちゃんの家へ走ります。そこにはオレンジのパピカが。
「代わって! イロと代わって!」
「イロはイロだよ」
「イロもイロでしょ! 代わって!」

 なんとも悲しい場面でした。
 パピカは青い世界で、ずっと1人で耐えてきたわけです。ココナと代わって、ようやくオレンジの世界に来れたわけで。そう簡単に、立場を失いたくはありません。
 が、ココナにしてみれば。
 オレンジで幸せいっぱいの世界から、いきなり絶望の底に叩きこまれたわけで。
 ましてや、2人ともピュアイリュージョンの影響で、精神が子供になってしまっています。「お互いのために我慢する」という発想に至らなくても、仕方ないでしょう。
 仲が良いはずの2人が、オレンジの居場所を奪い合う……。なんとも悲しい場面です。

 一度はこの世界から放り出された2人ですが、謎を解くために再度中へ。
 が、おばちゃんとのオレンジの日々にも、やがてブルーの影が……。

 2人で抱き合って泣く場面で、私も泣かされました。
 子供には辛いですよね。

 どちらの居場所も青に染まり、とうとう逃げ場所がなくなってしまったココナとパピカ。
「おばちゃんとの約束を破ってしまった」ことに気づいたココナ。「行こう」と言うパピカ。2人はそろっておばちゃんの元を訪れ、勇気を振り絞って約束を果たします。

 この行動の結果――おばちゃんはオレンジの世界に戻り、さらには現実世界にもちょっとした変化が。
 この“ちょっとした変化”のおかげで、ココナたちは今回のピュアイリュージョンの正体を知り、自分たちが大きなことを成し遂げたことを悟ります。
 すべてが丸くおさまって、エピソードは完璧なまでのハッピーエンドに。

 とても素晴らしいお話でした。
 30分の間に、様々な要素が含まれていて。この設定だけで映画1本作れちゃいそうな。
 物語は濃厚なのに、場面のひとつひとつは丁寧で繊細。オレンジの場面はのどかで暖かく、ブルーの場面は恐ろしく奇っ怪で。
 とても30分の物語とは思えませんでした。このエピソードだけでも、傑作の評価に値すると思います。

 ――が。
 続く7話の冒頭で、これが必ずしもハッピーエンドとは言えないことが判明。

 せっかくの大団円をひっくり返す、まさかの展開。
 残酷とも言える展開ですが……物語的に見ると、このどんでん返しは6話のラストに追加されるべきものです。
 それを7話冒頭に持ってくることによって、6話単体は完璧な、大団円なまま独立できるわけです。
 別の見解もあるかもしれません。が、私はこの構成でよかったと思います。

 ロリガ8話に匹敵する、神回でした。まったくもって感動させられました。


 で、ですね。手前味噌で恐縮ですが。


 おばちゃんと一緒の、オレンジ色の世界が、ちょっとこのお話と共通する気がして。
 本編のクライマックスが、ちょうどあんな感じだったので。「そうそうこんなふうなんだよ」と、めちゃめちゃ嬉しくなりました。もしアニメ化とかになったら、こんな感じになるのかなー、とか妄想したりして。