歌鳥のブログ『Title-Back』

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【音楽】Miami 2017



 昨日ふと「2017年かー。なんか耳馴染みのある数字だな」とか思って、唐突に思い出しました。

 ビリー・ジョエル。私が洋楽聞き始めたころから好きなシンガーです。
 私にしては珍しくどメジャーなアーティストでして、おかげで同じ好みを持つ数人の知り合いが見つかりました。……余談ですが、これマジで私にとっては珍しいことなんですよ。今までの人生で「ヴァンゲリスのファンだ」と公言する人には1人しか会ったことありません。マイナー・メジャー好きの悲しきあるあるですが、それはさておき。
 私を含めた数人のビリー・ジョエルのファン、全員が口をそろえて「特別だ」と言っていたのが、この曲、それもこの音源です。

『ソングズ・イン・ジ・アティック』というライブアルバムの、冒頭の曲です。
 この音源のなにが特別なのか、言葉で説明するのは難しいのですが……。最初のサイレンのようなシンセの響きとか、続くピアノの美しさとか。この曲はちょこちょこアレンジされてまして、このまんまのメロディで演奏されることは少ないらしいです。
 そして、歓声。
 マジソン・スクエア・ガーデンで収録されたそうで。「ブロードウェイ」や「ブルックリン」という名称が出るたびに「わーっ」とあがる歓声は、つまりそういうことですね。
 本物のニューヨーカーを前にしての演奏で、ビリー本人もノリノリだったのでしょう。ボーカルもいつになく力が入った、素晴らしくパワフルなものになっています。

 このバージョンを先に聞いてしまったため、後になってアルバムバージョンを聞いた時には相当がっかりしました。もちろん悪い曲ではないのですが、なにか物足りなくて。
 以後、テレビやらラジオやらネットやらでたくさんのバージョンを耳にしました。が、やはり↑の音源を超える感動はありませんでした。
 やはり特別な曲、特別な音源のようです。おそらくファンの方なら同意していただけると思います。

 で、さて。この曲そのものも、ちょっと特別でして。


“2017”って、最初は番地かなにかだと思ってました。
 曲自体は1976年発表、ライブ・アルバムは81年リリースで、私が聞いたのは80年代なかばごろです。
 なので、これが年号だとは想像もできませんでした。
 日本語訳が見当たらなかったのですが、歌詞はこちら。


 2017年、マイアミに移り住んだ語り手が、かつて住んでいたニューヨークが経済的・物理的に破滅してゆく様子を回想しています。
 つまり、これはSFです。近未来SF。

 クイーンズはそのまま残され
 ブロンクスは吹き飛ばされ
 マンハッタンは海に沈んだ

 この曲が生まれたいきさつは、ウィキペディアさんを参照していただいて。
 大統領が云々とかは今まで知りませんでした。デトロイトとか夕張をイメージするといいのかな。いや、夕張は違うな。まあとにかく、かなり危機的な状況だったのですね。

 幸い、この曲のような事態にはならなかったようです。ブロンクスもマンハッタンもまだ存在しています。
 が、今年に入ってかなり興味深い事態が起こりつつあります。

 大統領が交代しますね。

 この曲が預言書になった、なんてことにならなきゃいいんですけど。

 さて。この記事を書くにあたっていろいろ検索していたら、こんな映像が見つかりました。


 観客による海賊版なのでアレなんですが。……といってもドラマーのお姉さんも携帯で撮影してたりするし、こういうのってお咎めなしなんでしょうか。まあそれはともかく。
 どうやら年越しライブの映像です。深夜0時になったとたん、この曲が始まります。
 ビリー・ジョエル、こんなことやってたんですね。これもっと話題になっていいのになあ。
 ちょっと驚いたのが、アレンジが冒頭の動画、つまり『ソングズ・イン・ジ・アティック』版に酷似していたことです。サイレン音こそないものの、イントロのピアノはほぼそのままだと思います。
 この特別な日の演奏に、いちばん人気のあるアレンジを選んだ……というところでしょうか。やはり海外のファンにとっても、この曲、このバージョンは特別なようです。