歌鳥のブログ『Title-Back』

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【アニメ】けものフレンズ/ジャパリパークはディストピアなのか。

 なにげに検索したら動画こんなにあるのか……。気合入ってるなー公式。

 巷で話題沸騰の「わ~い」「たのし~」のアレです。

“少女化”した動物たちが、それぞれの生活圏でのほほんと暮らしている『ジャパリパーク』。
 ある日、“さばんなちほー”に住むサーバルちゃんは、記憶を失くした女の子と出会います。自分の種族すらわからない少女を、サーバルちゃんは持っていた荷物から「かばんちゃん」と呼ぶことにしました。かばんちゃんは何の動物なのか、縄張りはどこなのか、仲間はどこにいるのか。サーバルちゃんとかばんちゃんは、答えを求めて“としょかん”へと旅立ちます。

 とても良いアニメでした。
 とても教育的でもありました。途中に挟まれる動物たちの解説もさることながら、

「相手の欠点を補って、お互いの長所を活かせば、大抵のことはうまくいく」

 みたいなストーリーが激しく教育的。深夜に放送するのはもったいないと思いました。今からでもEテレで再放送してもらえないでしょうか。

※もっとも先日ツイッターで「↑のようなことは欧米では常識なので、このアニメは海外ではいまひとつウケてない」みたいなことが回ってきまして、軽く凹みました。

 で、アニメの感想はひとまず置いといて、ですね。
 放送の半ばあたりで、ふと疑問に思ったのです。「この世界観はディストピアなのだろうか」と。
(実はここで私は大きな勘違いをしてるんですが、勢いでそのまま話を続けます)
 以下、内容に触れるので改行します。








 さて。
 ごく普通にスタートした第1話ですが、2話あたりから不穏な気配が漂いはじめます。廃墟となった施設やら、荒れ果てた人工物やら。
 挙句「ヒトは絶滅した」というセリフも出てきまして。なかば想像していたことではありますが、やはりショッキングでした。
 で……思ったのです。
 管理する人間のいなくなった、動物たちのテーマパーク。それぞれが好き勝手に生活し、どうにかうまくやっている。荒廃は進み続けるだろうし、天敵もいる。平和ではあるけど、未来はない。
 これはディストピアなのでしょうか。

 最近流行ってますからね、ディストピア。たった1人の人間がここまで世界を絶望させちゃうなんて、さすが某国大統領の影響力です。と、それはさておき。
 ここでポイントとなるのが「人間がいない」ことと「未来がない」ことです。
 で、他の作品を思い出しました。


ヨコハマ買い出し紀行』。名作です。
 で、以下『ヨコハマ……』の方の内容にも触れています。







ヨコハマ買い出し紀行』の世界観がディストピアだとは、どうしても思えません。
 改めて考えると、『けものフレンズ』と『ヨコハマ買い出し紀行』には共通点が多くてですね。

・人口が極端に少ない。
・人間に変わる存在が、文明を受け継いでいる。
・おおむね平和である。
・アル○○さんがカフェを経営している。

 ヨコハマではロボットが、けものフレンズではフレンズたちが。
 絶滅しかけた人間に代わって、一部ではありますが、文明を受け継いでいます。
 人類の滅亡はもう時間の問題ですが、後を継いでくれる存在がいるわけです。これは全くもって絶望などではありません。

 ここまで考えて、ようやく気づきました。
 そもそも「人間がいるかいないか」がディストピアの基準ではありません。「その世界に住んでいる者たちが平穏に暮らせているか否か」、が基準となるべきです。

 と、いうわけで……。
 意味がなくなっちゃいましたが、最初の疑問に対する答えは、

Q:この世界はディストピアなのか。
A:否。これこそユートピアそのものである。

『ヨコハマ……』は静かに滅んでゆくお話ですが、『けものフレンズ』の方ではかばんちゃんの存在が大きいですね。
 かばんちゃんに影響されて、フレンズたちは様々なことを学びはじめました。ヒグマは料理を覚えそうですし、ギンギツネも今後は自力で温泉を修理できるでしょう。
 かばんちゃんは、フレンズたちが進化するきっかけになったのかもしれません。モノリスみたいに。

 で、えー、改めてアニメの感想に戻りますと。
 ぶっちゃけラストは泣きました。何が泣けるって紙飛行機がもう。うわーここでこれ持ってくるか、と。
 アニメそのものの出来は決っして褒められたものではなく、ああ低予算だなーと感じるところが多々ありました。
 が、それを補って余りある緻密な設定と、多種多様な伏線。
 計算し尽された、職人芸の世界です。
 ……が、そんなことまで考えなくても「わーいたのしーい」だけで充分なアニメでもあります。
 放送は終わっちゃいましたが、まだまだ展開がありそうなので、今後が楽しみです。というか、それよりもう1回最初から見たい。