歌鳥のブログ『Title-Back』

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【アニメ】プリンセス・プリンシパル




 オープニングとエンディング、音楽と映像の両方がすべて高水準というアニメは案外珍しかったりします。

 濃厚なストーリーと華麗なアクション、そして可愛いキャラが魅力のオリジナルアニメ。先日最終回が放送されました。

 時は19世紀末。重力を遮断する物質“ケイバーライト”を手にしたことで、世界の覇者となった“アルビオン王国”。そして革命によって王国から独立した“アルビオン共和国”。革命の舞台となったロンドンは東西に分離され、境界線には高い壁が築かれていました。
 王国側のロンドンに暮らす、5人の少女。表向きは普通の女子学生を装いつつ、彼女たちは共和国のスパイとして日々暗躍していました。
 常にマイペースなリーダー格・ドロシー。仲間内でも常に嘘をつきまくる冷徹な天才少女・アンジェ。貴族出身のごく普通の、でもちょっと特別な事情のある女の子・ベアトリス。東洋からの留学生・ちせ。そして女王の孫娘・王女シャーロット。
 5人はコントロールからの指令を受け、時に助けあい、時に反発し、時に騙しあいながら、着実に任務をこなしてゆきます――。

 面白かったです。
 命がけで任務をこなすスリル、個人用ケイバーライト“Cボール”を使った華麗なアクション等、魅力はたくさんあるのですが……一番驚いたのは、このアニメのキーワードでもある“嘘”。

 ちょっと話は変わりますが。
プレステージ』という映画がありまして。2人の奇術師が生死をかけてしのぎを削る、これまたスリリングな映画でした。デヴィッド・ボウイニコラ・テスラを怪演してまして……という話はともかく。
 この映画のキャッチコピーが、確か“全てのシーンにトリックがある”みたいなものでした。
 で、実際に映画を見てみると、このコピーがあながち誇張ではないことに気づきます。
 このトリックには驚かされました。そして、コピーの正確さ、正直さにも驚きました。

プリンセス・プリンシパル』で、似たような感覚を味わいました。
 このアニメには大きな嘘があります。第1話から……というか、もっと言えば企画発表の段階でもう嘘が入ってます。
 で……その嘘を、第2話でもう早々に明かしちゃったんですよ。
 本当に驚きました。おいおいこの先どうすんだ……と心配になりました。

 物語は時系列がバラバラに展開し、第2話で出会いの話、5話でちせが合流する話、9話で(回想シーンとして)“嘘”の始まりとなった話が語られます。
 冒頭にぶちまけられた謎が、徐々に解き明かされてゆく構成。見事のひとことに尽きます。

 で、その“嘘”の実態に触れる感想――の前に。

 ベアトリスがかわいいです♪

 見た目もロリロリで超かわいいのですが、それ以前に……実はこの子だけ“嘘”をついていないのです。
 もちろん任務では特技を生かして嘘つきまくり、仲間内でもお茶目な嘘をつくことはありますが(「黒蜥蜴星のお塩ですよ♪」)基本的にはいつでも素直で、いつでも本音です。
 なので――ベアトリス目線でこの物語を見ると、ほっとするのです。
 誰も騙していないということは、いちばん心が軽いということでもあり。ベアトリスの視点に共感することで、心なしか安心できます。
 本当に素直でかわいいんですよ。最初は「姫様を守る!」と息巻いてアンジェを敵視していたのが、アンジェの本心を知るところっと懐くようになって……。ドロシーとの本音の会話も良かったです。
 重い内容のエピソードも多かったこのアニメですが、ベアトの存在でかなり救われてた気がします。
 と、かなりお気に入りなベアトですが、いちばんかわいかったのは……というところで以下改行。








 いちばんかわいかったのは、デレた時のアンジェでした。
 アンジェがプリンセスと2人きりになった時、明らかに顔が変わるの、あれ本当にズルいと思います。普段は冷徹で非情なアンジェが、プリンセスに対しては子供みたいに甘えたり強情になったりします。
 卑怯です。萌えすぎます。まったくもって嬉しけしからん。

 物語のほうは――『スパイ大作戦』かと思ったら『王子と乞食』だった、という。
『王子と乞食』を現実的に解釈した感じでした。そうだよな、入れ替わってそのまますんなりいくわけがないよな。王子はもちろん苦労するだろうし、乞食はバレたら処刑だろうし。
 プリンセスが緊張のあまりゲロ吐く回想シーンが衝撃でした。そんな経験を乗り越えたからこそ、いざという時の度胸が半端じゃなかったのですね。
 最終回でアンジェがボロボロになっちゃったのとは対照的でした。

 で、その最終回。
 ええと……ほんのすこし、本当にほんのちょっとですが、不満がありました。
 いや、だって、もう後戻りできないくらいの雰囲気だったじゃないですか。
 もう兵士たちにプリンセスの裏切りバラしちゃったんですよ? 革命失敗したからって「じゃあ全部なかったことに」ってわけにいかないじゃないですか。
 えーどうすんの、これどうすんの……と、ドキドキしながら見てたのが、ちょっと肩透かしでした。事態を矮小化して、無理やりカタをつけちゃった感じがして……ちょっと物足りなかったです。
 もっと派手な展開を期待してたんですよ。『スティング』みたいな。それこそアンジェが言ったように「自分自身も騙される」勢いの、大掛かりな嘘を。

 が、それはそれとしまして。
 すべてをリセットして元に戻す展開は、非情に嬉しいものでした。誰も死ななかったし、最後の最後に“同じ能力を持つライバル”が登場したりとか。
 スタッフさん、もう続編作る気満々ですね。

 ひとつ疑問が。アンジェとプリンセスは、仲間たちに“嘘”を打ち明けたのでしょうか。
 作中では明確にされてませんが……たぶん、打ち明けたんだろうなーと想像してます。プリンセスの「みんなで~」という台詞は、そういう意味なんじゃないかなーと。

 そのあたりも2期で明らかになるんでしょうか。
 最近ここまであからさまに「2期やるぞー」って終わりかたも珍しい気がします。とはいえ、何があるかわかりませんけど。つい先日もショッキングな情報が飛び交ってましたし……。