歌鳥のブログ『Title-Back』

歌鳥の小説やら感想やらなにやらのブログです。よしなに。

【わたモテ】うっちー編:なんでぇ!? なんでこの子壊れちゃったの!!

 さて。『わたモテ』キャラ話・その1です。
 ネタバレ注意です。コミックスでまとめて読みたい方はご注意ください。

 私が気になるキャラクターはたくさんいるのですが――というか、登場人物全員気になるっちゃーなるんですが――まず最初に気になった女の子を取り上げてみます。

「うっちー」こと内 笑美莉(うち えみり)さん。
 主人公からは心の中で「絵文字」と呼ばれています。

(本当ならキャラ個別のページにリンクしたいのですが、なんかうまくいきません。お手数ですが↑のサイトから“内笑美莉”のページをご参照ください)

(そういえば前回“序章”は序章すぎて主人公の名前すら書いてませんでした。主人公は黒木 智子(くろき ともこ)、ファンの間では中学時代のあだ名をとって「もこっち」と呼ばれています)

“絵文字”の由来は、そのシンプルな顔つきから。 (|_|) ←こんな感じの顔をしています。
 もこっちとは2年生時に同じクラスになりました。それ以前からモブキャラとして登場はしていたのですが、物語に深く関わるようになるのは、すべてのターニングポイントとなった修学旅行のエピソードからです。

“はみ出し者”の集まりとしてもこっちと同じ班になったうっちー。が、実際には別の仲良しグループの一員でした。班の人数制限に引っかかってしまうため、仕方なくもこっちの班に来ただけなのです。
 そんなわけで、旅行中は終始もこっちの班と別行動をとっていたうっちー。
 が、最後の宿は2人部屋で、うっちーはもこっちと同室になりました。
 その夜。もこっちは独自のゲス思考を炸裂させ、数々の奇行に走ります。もこっちの奇行を目の当たりにしたうっちーは、もこっちが

「自分を性的に狙っている、レズビアンのストーカーである」

と誤解してしまいます。

 旅行を終えてからも、もこっちの奇行とうっちーの勘違いは続きます。うっちーはもこっちの視線に怯え、心の中で「キモいキモいキモい」と悲鳴をあげつつ、健気に学校生活を送るのでした。

 と、ここまでのうっちーは完全に被害者です。
 が……このあたり明確に描かれてはいないのですが、2人の関係は――というか、うっちーのもこっちに対する感情は――徐々に変化していったようです。

 明確に描かれていないとはいえ、体育祭のエピソードから推測はできます。どうやらうっちーの内面では、

・あの女は私をストーカーしている!
(もこっちはレズではないですが中身オッサンなので、ジロジロ見ていたのは事実です)

・でも他の女のこともジロジロ見ている!
(実際にはうっちーだけを狙っているわけではないので、当然他の女の子も見ます)

・なぜ他の女を見る! なぜ私だけを見ない!!

と、そんな心境の変化があった模様です。

 その結果、どうなったかといいますと――

 うっちーは旅行のお土産やバレンタインのチョコを、もこっちに(直接ではなくこっそりと)渡すようになります。
 加えて、もこっちが他の女子や男子と仲良くしているのを見ると、心で「キモいキモい」と罵倒しつつ、歯をむき出して悔しがります。
 さらに3年のクラス替え時。もこっちと別のクラスになってしまったうっちーは「なんでぇ!?」と泣き叫びながら地面を転げ回るのでした。

 クラスが別れてしまったうっちーですが、休み時間のたびにもこっちの教室を訪れ、物陰からもこっちの様子を伺うようになり――。
 いつしかうっちーは

「もこっちをつけ狙うレズビアンのストーカー」

 と化していたのです……。

 私が最初に『わたモテ』に触れたのは、たぶん喪117「モテないし2年生の終わり」のあたりだと思います(このお話のうっちーもなかなか凄いのですが、ここでは省略)。以後は飛び飛びで、ツイッターで話題になると気になって読みに行く、くらいの頻度でした。
 本格的に、ブックマークして更新のたびに読むようになったのは、喪140「モテないしオープンキャンパスに参加する」からです。
 この回のうっちーがとにかく異常で。お話のメインはもこっちと加藤さんで、うっちーは完全に脇役なのですが、

・仲の良い友人グループから離れて、偶然出会ったもこっちに同行する
・心の中で「キモいキモい」を連発しつつ、キモい当人であるもこっちにべったり貼りつく
・最後には電車で寝たふりまでして、もこっちにもたれて匂いを嗅ぎまくる

 とまあ、主役を完全に食ってしまうほどの奇行でした。完全に変態の所業です。
 この子何なの? なんでこんなんなっちゃったの? と、気になって仕方ありませんでした。
 そんなわけで、毎回更新を楽しみにするようになり、さらには過去にさかのぼって単行本を読み漁るようになったのです。
 過去編、修学旅行のお話には戸惑いました。ここでほぼ初めて登場したうっちーが、あまりにも普通で……。現在の変態ぶりとは、まるで別人です。

 恐ろしいのは、うっちーがなぜ豹変してしまったか、はっきりとは描かれていないところです。
 ↑に書いた経緯は、体育祭のエピソードから私が推測したに過ぎません。まあ大体合ってるとは思いますが、「これがこうしてああなった」と明確には語られていないのです。
 ――この「語らない」というのが、『わたモテ』の大きな特徴のひとつでして。
 他のキャラのエピソードでも、この特色はたびたび登場します。

『わたモテ』は基本ギャグ漫画で、ラブコメではありません。
 前回“百合ハーレム”という表現を使いましたが、もこっちと女の子たちとの関係は基本“友情”であって、恋愛感情は持っていません(たぶん)。
 唯一の例外がうっちー。うっちーの抱えた感情はまぎれもなく恋愛のそれで、愛が深すぎるが故の変態行為なわけです。
 そんなうっちーの愛情が、喪152「モテないし(・_・)と」で炸裂します。

 球技大会。もこっちと同じく卓球競技で参加したうっちーは、勝ち進んでもこっちのクラスと対戦するのを楽しみにしていました。
 が、その願いは叶わず。悲嘆したうっちーは友人相手に「なんで!?」と駄々をこね、グループとの間に亀裂が生じます。
 もこっちを巻きこんで険悪なムードとなる友人グループ。もこっちは空気を読み、自分が悪役となることでグループの仲を修復しようとします。
 うっちーに向けて、故意に冷たい言葉を投げつけるもこっち。それを真に受けたうっちーは、思わず涙ぐんでしまい――。
 うっちーの秘めた(?)思いが、とうとう友人グループに知られてしまったのです。

 この回はうっちーの恋心がメインで、他のお話とはちょっと雰囲気が違います。もこっちの気遣いや友人たちの優しさもあって、切なくもちょっと暖かいお話でした。
 が、それだけにオチが強烈で。
 本当に、拍手喝采モノでした。それでこそ『わたモテ』! と言いたくなるほどの。

 この時の微妙な空気を引きずったまま、お話は現在の謹慎編に突入しています。
 もこっちが不在でも、うっちーの奇行は相変わらず。もこっちがその気になって恋愛が成就する日まで、この変態ぶりは続くのでしょう。そんな日が来るとは思えませんが。

 いや本当に、修学旅行では普通の女の子なんですよ。もこっちと関わったばっかりに、こんなことに……。

 思いのほか長くなってしまいました。どーもすみません。
 次回はネモについて語ります。こんなには長くならない予定です。ちょっと作戦があるので。