【わたモテ】ネモ編:演じるのをやめた演技派少女。
『わたモテ』語り3回めです。
致命的なネタバレは避ける予定ですが、それも嫌だという方はスルーしてください。
で、本題の前に――。
先日、喪160『モテないし謹慎最終日』が公開されました。
謹慎編の最終話?ということで、ネットでは「いい最終回だった」と好評です。
が。
私は本筋とは関係なく、1人のキャラに心を奪われてしまいました。
佐々木 風夏(ささき ふうか)さん。
美貌の長身、スタイルも抜群。スポーツが得意で、成績も(おそらく)優秀。人あたりも良く、人望もあるようです。
これといった欠点のない、完璧な美少女です。恐らく校内でもトップクラスの人気者でしょう。
今のところ、『わたモテ』の作品内では純度100%のギャグ要員です。
主人公とは“友達の友達”という関係。クラスも別なので、登場頻度はそう多くありません。
登場するたびに、爆弾級のギャグを落としてくれます。
とはいえ、本人が何かやらかすわけではなく。誰かに何かされるわけでもなく。
当人にはなんの落ち度もないのに、その美貌と気品を保ったまま、ひたすらギャグを落とし続けています。
一体どうやったら、こんな芸当が可能なのでしょうか。
この風夏さんというキャラをどう分類したものか、私には見当がつきません。
“見た目も性格も完璧な美少女”かつ“完全なギャグ要員”というキャラ、今までに存在したでしょうか。
また気になるキャラが増えてしまいました。今後も風夏さんから目が離せません。
前フリが長くなってしまいました。ようやく本題。
今回はネモのお話です。
本名は根元 陽菜(ねもと ひな)。「ネモ」は主人公がつけた呼び名です。
と……今回はネモクロ話なので、主人公のことももこっちではなく「クロ」で表記します。
ネモは明るい色のツーサイドアップが特徴。リア充グループに所属する、笑顔の多い女の子です。
が、この笑顔にはちょっとした秘密が――。
ええと。
以前も書きましたが、『わたモテ』は本当に「語りたくなる」漫画でして。数多くのファンが、いろいろな場所・いろいろな形でそれぞれの思いを語っています。
“ネモクロ”については、↓の動画がとてもよくまとまっています。私がくどくど語るよりも、こちらを見ていただいたほうがよろしいかと。
……言いたいことをVTuberさんの動画に丸投げする、珍しいタイプのブログです。
いやまあ、私の語りたいことはほとんどこちらの動画に含まれてますので。
ナナホシすずさんは原作更新のたびに“わたモテ会議”と題する中継を行われてまして。大勢のファンの方と、チャットで最新エピソードについて語り合っています。愛が深い。
閑話休題。
というわけで。3年の遠足において、めでたく“ネモクロ”カップルが誕生するのですが。
↑の動画は2018年3月のものです。当然、そこからかなり連載が進んでいまして。
本編とは別に“特別編”として、ネモの過去を回想するエピソードが公開されています。
中学時代のネモは、オタク趣味を隠そうとせず、クラスで普通にアニメについて語っていました。
が……2つのグループと平等に接していた結果、その両方から微妙に距離を置かれてしまいます。ネモにはまったく責任がないものの、周囲からはコウモリのような存在として見られてしまったのです。
この苦い経験から、ネモは高校入学時、ひとつの決意を抱きます。
「今度は うまく演(や)る」と。
驚嘆すべきは、ナナホシすずさんの動画で語られている喪122が、特別編の前に公開されていること。
発端の「うまく演る」が、その終着点である「うまく演るのはもういいか」より後に来ているのです。
恐らくですが――これ、後づけです。
同じことが、ネモの存在そのものにも言えます。
ネモは当初、ただクロと同じクラスなだけのモブでしかありませんでした。
実際、アニメ版では完全なモブキャラとして描かれています。ネモを演じた声優さんが、その後ネモとクロが仲良くなって「驚いた」と発言しています(注1)。
が、その当時から、ネモが“隠れオタクである”という設定があったそうです(注2)。
原作担当さんによると、先の細かい展開は予定していなかったそうで(注3)。ということは、ネモの将来の夢とか、中学時代のエピソードとか、全部後づけなんですよね。
後づけでいろいろネタ作るって、普通は敬遠されることだと思います。きっちり設計しないと矛盾が出ますし、いろいろ無理も生じますし。
が、『わたモテ』の場合はすべてがナチュラル。
ネモが「最初からそうだった」と言われても、まったく無理も矛盾もなく納得できます。
繊細なストーリーテリングには驚嘆させられます。――この“繊細さ”が、『わたモテ』のもうひとつの特色なのですが、この件についてはまた後日。
最近、ネモについてのネットでの意見を目にしました。いわく
「ネモはずっと憧れていた“日常アニメみたいな生活”を手に入れてしまった。だから漫画として語るべきことがもう残っておらず、今後は出番が減るだろう」
と。
鋭い指摘だと思います。
が、(今回は語る余裕がありませんでしたが)遠足編での、ネモが親友あーちゃんに向けた黒い視線があります。
「うまく演るのをやめた」とはいえ、ネモはまだまだ演じています。ネモが日常的に見せる笑顔は、本心ではありません。
だからこそ、遠足編のスプラッシュコースターや特別編のラストで見せた笑顔が、めちゃくちゃかわいく見えるわけです。
次はいつネモの本音が見られるのか。そう考えると、今後もネモから目が離せません。
思いの外長くなっちゃいました。前フリからして長過ぎる……。人様の手をお借りしてまでこの体たらく、どうなんでしょ。
次回はゆりちゃん編です。さすがにこれ以上長くはなりません。たぶん。
わたモテ原画展にも足を運ばれたそうです。なんか嬉しいですね。
注2:原作担当さんがラジオ放送に出演した際の発言より。
注3:同じく原作担当さん出演のラジオ内での発言。