【本】地球から来た男
久しぶりに読書のお話。
古本屋さんの店先で見かけて、3冊100円で買いました。「たぶん読んだことあるけどまあ33円だし」的な考えで。
初読でした。びっくりしました。
初読でしたが、でも表題作だけはどこかで読んだことがありました。
産業スパイを命じられた男。首尾よく大企業の研究所に忍び込みますが、正体がバレて拘束されました。大企業の社員が男に言い渡した処罰は“地球外追放”。男はテレポーテーション装置に放りこまれ、見知らぬ惑星へと転送され――。
この短編は秀逸でした。「事実はこうなんだろうなー」と読み手に思わせておいて、でも確証は与えない。主人公もその可能性には気づきつつ、でも納得はしきれない。ひたすら苦しみ、もがき続ける主人公。
企業の対応は実にお見事ですね。さすがは大企業。
で……他の短編はそこそこでした。
なんか納得のいかないオチもあり、なかなか面白いものもあり。平均すると「そこそこ」。表題作が秀逸すぎて、ちょっと見劣りしてしまうのが残念。
が、しかし。
もうさんざん言われていることですが、星新一は本当に読みやすいですね。たとえつまらない短編でも、文章が読みやすいのでまったく苦になりません。
文章だけでも面白い。ああ、こういう作家になりたいなあ。
なお、一緒に買った残りの2冊はいずれもジェフリー・アーチャーの短編集なのですが、えーと。まあ、それなりでした、ということで。